裁き屋始末録
 
「秋野は金にうるさいし、アンタは女にしつこいし。

香奈ちゃんは育ちが良いからアンタにも優しいけど、私は違うからね!

ハッキリ言っとくけど、アンタと秋野の二択だったら…
私は秋野を選んでたわよっ!」


絶対にウマが合わないと思われる二人の裁き屋…

気の強い女パティシエと、女タラシのタロット占い師…

どうなることやら…


彼らは今、全国洋菓子職人選手権の会場に向かうため、電車で移動中だ。

ターゲットの角戸田という男は、多くの有名洋菓子店を経営運営する裏で自分の傘下に入らない店や職人を、二度と業界で生きて行けなくなるよう圧力を掛ける…
という男だ。

朱乃も面識があるが、幸い角戸田には煙たがられていたし、朱乃も角戸田を嫌っていた。


「ま、いずれは裁かれるハメになるとは思ってたけどね、あの男。
やり方が汚いのよ」

「まぁまぁ、そんなに怒ると朱乃ちゃんの可愛い顔が台なしだよ…って、
イデデデデ!」

宿尾の爪先に、朱乃のヒールがグリグリと食い込んだ。


「宿尾君…
だ・ま・っ・て・ろ・って!」

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