裁き屋始末録
やがて会場に到着する二人。
まだ宿尾は足をひきずっている。
「アンタねぇ、何でそんなに軟弱なのっ!
あの程度で痛がって!
大体ねぇ、世の中にはアンタみたいな弱い男が多過ぎるのよっ!
何で占い師なんかになったの!?
全然体力使わないでしょ!?
だからアンタは…」
さながら気の強い嫁の尻に敷かれた夫が、外出先で嫁をブチ切れさせた…
そう説明したら納得されそうな状態だ。
宿尾は
「いつものことですから」
といった感じで、ジロジロ見て行く通行人に軽く会釈をする。
「あ、正岡先輩!?」
会場で、一人の若い女性が朱乃を見つけて駆け寄って来た。
「でさ!
アンタや秋野は全っ然だらしないのよねっ!
たまには瀬尾さんみたいにビシッとクールに決めてみなさいよっ!」
…その女性そっちのけで、まだ説教は続いている。
「あのぉ…朱乃ちゃん?
お友達が…」
「はぁ!?
お友達が何よ!
そんなに気が強いと友達も居ないんだろって言いたいの!?
私にだってねぇ、友達の一人や二人………??
あ、あれ?
…やぁだ、ちょっと!
イクノちゃぁん!
久しぶりぃっ!!」
…やっと気付いたようだ。