裁き屋始末録
次の日の朝刊では、
「洋菓子界の闇のドンが、謎の変死」
と見出しがあった。
朱乃は下着にYシャツを羽織うだけという簡単な部屋着姿で、新聞を読みながらコーヒーを飲み干した。
「…イクノちゃん、ごめんね。
でも、私が選んだ人生だから…
私の決めた道だから…」
その時、
ピロポロピロ〜ン!
「あ、メール…」
2日後…
朱乃は駅前に居た。
「正岡センパ〜イ!」
息を切らして駆けてくる女性。
イクノだ。
「…イクノちゃん。
メール見たよ。
どうしたの?
急に見せたいものがあるっ…!?」
いきなりイクノは朱乃の手を取り、
「いいから来て下さいっ!」
朱乃を引きずるように歩き始めた。
「あ、ちょ、ちょっと!
イクノちゃん!!」
てくてくてく…
朱乃が連れて来られたのは、閉店してシャッターが降りた小さな店。
シャッターには[入居者募集]の貼り紙が。
「!!
…もしかしてイクノちゃん!」
イクノはニッコリ笑って朱乃に答えた。
「はいっ!
ここで来月から店を出します!
まだ誰にも…
両親にも言ってないんです!
開店が決まったら、真っ先に正岡先輩に言おうと思ってました!」