裁き屋始末録
狙撃手の鎮魂歌

パチプロの厄日

 
裁き屋の一人、秋野嵐。

表稼業はパチプロ…
と言えば聞こえは良いが、要するにプー太郎だ。


今日も一仕事(パチンコ)を終え、帰路に…

「ん?」

自分のスクーターに
妙な貼り紙があることに
気付く。

「なんじゃこりゃ?」


[お前の正体を知っている]


ただ一言。

貼り紙に書かれていた。

普通の人ならイタズラにしか思えないだろう。

「!!」

しかし秋野は裁き屋!

そして彼が、貼り紙の文を読んだ瞬間から始まっているのだ。

挑戦が!


「くっ…!」

咄嗟に物陰に隠れる秋野。

彼はポケットから、折り畳まれたスリングを取り出す。

「ち…、またかよ…」


秋野は裏の世界では有名なNo.1スナイパーだ。

彼を撃ち負かした狙撃手は、No.1の座をモノにできる。

こうした挑戦は秋野にとって初めてのことでは無い。

だから先程の貼り紙も、直感で[挑戦状]だと気付いたのだ。

表稼業という[隠れミノ]を持たない秋野は、他のスナイパーから常に狙われているのだ。


しかし秋野の強みは狙撃の才能だけでは無い。

恐るべき強運と直感。

これが秋野の最大の武器だ。

余程のことが無ければ、弾を身に受けることは無い。

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