裁き屋始末録
裁きの会は、月の最初の仏滅の日に開かれる。
とある寺の閻魔堂。
場所は…
知れば命を狙われる。
裁き屋にも、殺し屋のような[掟]がある。
その最も簡単明瞭で、最も基本的な物は[知りすぎた者は消される]だ。
廃寺同然のオンボロ堂は見かけだけ。
その地下に、裁きの会の会場がある。
ハイテク機器が所狭しと並べられた超近代的な会議室は、さながら秘密基地のようだ。
この技術のため、ここが察知されることは皆無。
「…裁き屋の皆さん、
お集まり頂きありがとうございます。
早速ですが、今回の業務内容を伝えます」
天井の隅に設置されたスピーカーから声。
元締の声だ。
その正体は、裁き屋にも知らされていない。
[業務]とは裁き屋の業界用語であり、裏の仕事の隠語なのだ。
「今回の業務の的は、国会議員の淡路セキモリ、その秘書の筑波フチト。
嘆き料は…300万」
「…」
瀬尾が席を立つ。
「現役国会議員と秘書が相手?
ちょっと危険すぎるわ」
朱乃も続いて席を離れた。