裁き屋始末録
元締は続けた。
「そしてもう一人、彼らと繋がりのある不動産屋の三笠(みかさ)イデシ。
この三人を消して頂きます。
いつも通り期限は、来月最初の仏滅の日です」
秋野と宿尾も席を離れた。
「嘆き料の安さは仕方ないとは言え、期限までには無理だよ」
「しょっぴかれるのが分かってるのに、請け負う業務じゃ無いな」
「…村雨さん、
住江さん、
見史屋さんは?
受けて頂けますかな?」
しばらく目を閉じて黙っていた村雨が、重い口を開いた。
「元締、
この厳しい条件に安い嘆き料…
他の連中が降りるのも無理はねぇですぜ。
嘆きのスジを聞かせて頂けやすかね?
乗るか降りるか、それで決めやすよ」
「…分かりました。
頼み人の素性は教えられませんが、淡路と筑波の両名は、不動産屋の三笠を使って強引に海辺の土地を頼み人から奪いました。
今時珍しい、先祖代々から受け継いだ土地です。
その土地は整地され、淡路の愛人のためのマンションが建造されます。
海の見える、夜景の綺麗な場所という理由だけで、です」