裁き屋始末録
後半の部がスタートした。
客席は静まり返る…が、コンサートに来ていた宿尾だけが、違和感に気付いた。
(何だ?
香奈ちゃんの演奏、微妙に変な感じがする。
動揺してるのか…?
もしかして、村雨さんに
何かあったのか!?)
香奈が動揺する時…
それは仲間に何かあった時だ。
裁き屋の誰もが、香奈の[仲間への気遣い]を知っている。
だから仲間に何かあった時、彼女が集中できないことも…
席を立とうとした宿尾の前に、テグス(釣り糸)で吊られた[何か]が降りてきた。
折り紙で作られた[ヤッコさん]だ。
[はぁい、裁き屋さん!
香奈ちゃんは大丈夫だから、貴方は心配しないでね
御終屋のプリチーガールより]
…メッセージ付きだ。
「御終屋のプリチーガール…
何これ?」
演奏会は途中。
しかし、香奈とあこは既に行動を開始していた。
一体何故、そんなことができたのだろうか?
答えはクラシック楽器が出す、脳をリラックスさせる波長…α波だ。
これにより客を一種の催眠状態にし、昏睡に近い眠りを与える。
香奈はバイオリンの音色を使い、聴衆を眠らせる技術を身につけていたのだ。