裁き屋始末録
…そしてやって来た地下5階。
立ちはだかる鉄のドア。
村雨が引っ掛かったトラップのドアだ。
香奈は村雨がやられた位置を確認し、矢が飛んでくる方向を予測…
全ての条件の検証を終えてドアに向かい、斬糸の弓を引いて構える香奈。
「あこちゃん、お願い」
あこは香奈の頼みにコクンと頷き、ゆっくりと扉を開けた。
ギィ…
シュッ!
矢は、香奈の弓に吸い寄せられるように飛び、矢をつがえる形にピタリと収まる。
香奈が弦を弾く!
ビュオン!
矢は元の方向へ真っ直ぐ戻って飛んで行き、
ギャシュ!
矢の発射装置を直撃した。
「すごいわねぇ、香奈ちゃん。
裁き屋、レベル高ぁ…」
あこの驚嘆にニッコリ笑って答える香奈。
「普通よ。
さ、行きましょ」
…今回の的はハッカー組織[サボラケ]の、通称[シラユキ]と通称[アジロギ]。
男2名だ。
スキミング詐欺専門で、主に老人達から金を巻き上げている。
彼らに財産を根こそぎ奪われ、自殺に追い込まれた者も居る。
そんな連中が何故、コンサートホールの地下にアジトを?
簡単だ。
個人情報を入手しやすいから。