裁き屋始末録
「ん?
何か落としたか?
…ところでアジロギ。
こないだのデータの打ち込みミスってたぞ」
シラユキは、話し掛けている相手には既に首が無いことに気付いていない。
その後ろで…
あこが万年筆を取り出し、その先端に鉄板の折り紙で折ったヤッコを取り付ける。
そして、
カチカチカチカチ…
万年筆をラジオのアンテナように1メートル程の長さまで引き伸ばした。
背後の異音に気付き、振り返るシラユキ。
「!?
だ、誰だ!!?」
瞬間!
あこが伸びた万年筆をシラユキに向けて、釣竿のように振る。
シャリィィィィィン…
鉄のヤッコが、シラユキの首に目がけて飛ぶ!
ヤッコと万年筆はテグスで結ばれており、シラユキの首にクルクルと巻き付いた。
そしてヤッコの尖った頭が、シラユキの喉に食い込みそうな位置で止まる。
「名無く、顔無く、姿無し。
世を照らす光あらば、悪を斬る影もあると知りなさいな!
天魔…終末!!」
あこは万年筆をグイと引いた。
ズビュ
シラユキの喉にヤッコが鋭く突き刺さり、シラユキは事切れた。
ヒュルルルルル…
万年筆で円を描くようにテグスを巻き取ると、あこは香奈に目で合図して部屋を去った…