裁き屋始末録
 
「ん?
何か落としたか?

…ところでアジロギ。
こないだのデータの打ち込みミスってたぞ」

シラユキは、話し掛けている相手には既に首が無いことに気付いていない。


その後ろで…

あこが万年筆を取り出し、その先端に鉄板の折り紙で折ったヤッコを取り付ける。

そして、

カチカチカチカチ…


万年筆をラジオのアンテナように1メートル程の長さまで引き伸ばした。

背後の異音に気付き、振り返るシラユキ。

「!?
だ、誰だ!!?」


瞬間!

あこが伸びた万年筆をシラユキに向けて、釣竿のように振る。


シャリィィィィィン…


鉄のヤッコが、シラユキの首に目がけて飛ぶ!

ヤッコと万年筆はテグスで結ばれており、シラユキの首にクルクルと巻き付いた。


そしてヤッコの尖った頭が、シラユキの喉に食い込みそうな位置で止まる。


「名無く、顔無く、姿無し。
世を照らす光あらば、悪を斬る影もあると知りなさいな!

天魔…終末!!」


あこは万年筆をグイと引いた。


ズビュ

シラユキの喉にヤッコが鋭く突き刺さり、シラユキは事切れた。


ヒュルルルルル…

万年筆で円を描くようにテグスを巻き取ると、あこは香奈に目で合図して部屋を去った…

< 43 / 80 >

この作品をシェア

pagetop