裁き屋始末録
 
「…以上で演奏会は終了です。
皆さん、最後まで御静聴ありがとうございました!」

香奈は客席に向かって挨拶し、一礼した。


…パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!


客席からは惜しみない拍手。

しかし皆、
「うっかり寝てしまっている間に、演奏会が終わってしまった」
という表情だ。


村雨は宿尾に付き添われて帰って行った。

傷は思ったより浅く、痺れも引いたようだ。

それを見送った後、控室に戻った香奈はテーブルの上に手紙を見つけた。


[お疲れ様、色々な意味で。

…お互いが的同士にならないよう祈ってます。
今度は仕事抜きで会いたいな。

     沢あこ]


読み終えた香奈は、

「もちろんよ。
私たち、友達だから…」



…ところで
誰か忘れてない?


「あ、そういえば!
カ、カ、カスミさんっ!?」


その頃、カスミは…

まだ控室の隅でスヤスヤ寝ていた。

寝言を言いながら。


「…香奈すぁん、
あと2分で…
ふぉんぶぁんでし…

…もう食べられにゃぁい。
ムニャムニャ…」

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