裁き屋始末録
綿野シマの話によると、娘のナミは中学1年生。
シマが女手一つで育てたのだそうだ。
2ヶ月前、亡くなったらしい。
いじめを苦にした自殺だった。
学校側は事実を揉み消そうとしたが、シマは思い切って警察に相談しようとした。
それに感づいた学校側は、シマに圧力を掛け始めた。
口封じをしようとしたのだ。
最初は嫌がらせ程度。
徐々にエスカレートして行き、通り魔に襲われたり家の門を壊されたり…
すぐに見つかったが、娘の遺骨を盗まれたこともあったらしい。
「なんて奴らだ!」
住江は怒りを現にした。
「それで引越しを?」
朱乃の問い掛けに、ゆっくりとシマは頷いた。
「娘が居なくなった以上、ココに居ても仕方が無いし…
思い切って田舎に住もうかな、なんてね。
娘が小さい頃に亡くなった主人の故郷に…」
沈黙を破り、住江が切り出した。
「…綿野さん、知り合えた記念に何か頂けないですか?」
朱乃が驚いたように住江を見た。
(住江さん!?)
視線に視線で答える住江。
(あぁ、そのまさかだ!)