裁き屋始末録
「車で御主人の田舎に向かう途中の山道だ。
下りのカーブを曲がり切れずに、ガードレールを突き破って転落した。
前部から地面に激突して、運転席は…潰れていたそうだ。
秋野の話によると、いきなりブレーキが利かなくなったように見えたらしい」
ドンッ!
「…何てこった!」
住江は怒りのあまり、テーブルに拳を打ち付た。
朱乃も肩をワナワナと震わせている。
村雨は続けた。
「事故直後、現場から走り去った車があったそうだが…
察しがつくよな?
君ヶ田校長の車だった」
「…決まりだな。
俺も行こう」
瀬尾はパタンとノートパソコンを閉じた。
「元締…業務の許可を」
沈黙は十数秒続いた。
「…分かりました。
では住江さん、正岡さん…
そして瀬尾さん。
今回の業務、お頼み申します」