裁き屋始末録
狩る者、狩られる者
住江達が業務に出向いてから約2時間後、君ヶ田らは学校へ帰っていた。
既に深夜。
闇に生きる者達の時間だ。
唯一明かりの灯る校長室で、乾杯を交わす君ヶ田兄弟。
「これで取りあえず警察沙汰にならなくて済むな、兄さん」
「あぁ。
ウチの学校の、クリーンな進学校のイメージは損なわれずに済んだよ」
夜の帳の中、外へ洩れる窓明かりとダミ声の男達の勝ち誇った笑い声。
ビイィィィィィィ…
ガムテープを引き延ばす音は、笑い声に掻き消された。
校長室の真上で、2階の教室に忍び込んでいた住江の姿が、月明かりに浮かび上がる!
そして校長室の外、窓の下では朱乃が右手に黒いミトンをはめながら身を屈め、[その時]を待つ。
校舎から少し離れた場所では、瀬尾が両手に缶ビールを持って中の様子を伺っていた。
そして、君ヶ田兄弟が揃って向こうを向いた瞬間…
「門出祝いだ。
兄弟仲良く地獄へ行きな…
乾杯!!」
2つの缶ビールが、校長室のガラスに向けて投げ付けられた!