裁き屋始末録
 
「瀬尾、とうとう俺達だけになっちまったな…」

「あぁ、お前とは長い付き合いだったが…
こんな形で終わることになるとはな」


千点棒と刀。


その二つが一瞬、目も眩むような閃光を放ったように感じた時!

村雨と瀬尾は、互いに向かって一気に踏み込んだ!


ブシャッ!!



…夜の閻魔堂に静寂が戻る。



やがて閻魔堂から火の手が上がる。

火は炎となり、夜空の星を焦がす勢いで燃え盛った。


天高く昇り続ける火柱が、闇の中に潜んでいた影たちを照らし出した。

虚無僧の姿をした5人組。


その真ん中の一人が、炎を見つめながら呟く。

「村雨、瀬尾…
二人とも逝ったか。
俺達[闇狩り]に狩られる前に、自滅を選ぶとはな…

お前達らしい選択だ。
フ、昔から変わらんな。
あばよ…

…裁き屋は滅んだ。
退くぞ!」


ジャキャ!

虚無僧の集団は錫杖を一斉に鳴らして答え、風のように立ち去った。


そしてまた…


辺りは

静寂と

暗闇を取り戻した………



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