裁き屋始末録
「貴方は私と村雨さんがアジトで[月例会]の話をした時から、我々の策に掛かっていたのですよ。
私が出掛けた時も、最初から襲われることを予想していたので、防弾チョッキを着ていたのです。
元締の月例会などというモノはありません。
あれは私と村雨さん、瀬尾さんと決めた[暗号]。
闇狩りがアジトに潜入し、何かを仕掛けたという合図なのです。
[闇狩りを狩る]ためのね」
「え、ええぃっ!
侵入者だ!
闇狩り、出ろ!!」
手向山は天井に向け、声を張り上げて叫んだ。
………?
「ふむ…
誰も来ないようですね」
小倉の言葉に、手向山は青ざめて震え上がった。
「き、き、貴様ら!
ワ、ワシが誰だか知って…」
「知ってるよ…
闇狩りの元締、そして表の顔は内閣副総理大臣…
手向山ニシキさん」
バゴン!
勢いよくドアを蹴破って入って来たのは村雨だった。
「お邪魔しやすぜ…
他の闇狩りは、俺の仲間が全て始末した。
お前も隠れてないで、そろそろ出て来たらどうだ?
闇狩り筆頭…
苅田(かりた)コロモ!」
バキッ!
村雨の呼び掛けに応えるように、拳で天井を割って何者かが飛び降りて来た!