裁き屋始末録
 
−エピローグ−


「村雨さーん!」

「…よぉ、香奈」


夕方6時、駅前で待ち合わせしていた二人。

「村雨さん、どこに行きます?
お腹空いてます?
映画とか見ます?
美術館とか…」

香奈は一人ではしゃいでいる。

村雨は頭を掻きながら、

「香奈…
いや、その…
俺は[こういうの]は慣れてないんでなぁ…

お前がリードしてくれや…」

村雨が言う[こういうの]とは、もちろん[デート]のことだ。


「あ、はい、じゃあ…
ご飯にしましょう!
この先に、朱乃ちゃんから教えてもらった美味しいパスタの店が…」


ピピピピ!

ピロポロ〜ン♪


村雨と香奈の携帯から、同時にメール着信音が鳴る。

互いの顔を見合わせる、村雨と香奈。


「やれやれ、だな…」

「ふふふ…
行きましょう、村雨さん」


二人は再び駅に引き返し、構内の雑踏へと消えて行った…




世の中に
悪の栄えた試し無し

とは言え消えぬは弱者の涙
踏まれ揉まれて生き地獄

尽きぬ嘆きを晴らしてみしょう


口外法度の裏業務


【裁き屋始末録・完】


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