ただ、好き。
あいつの泣き顔が、
あいつの俺に初めて見せた泣き顔が、
頭から離れない。
あいつはいつも笑っていた。
初めて話したときだってそうだ。
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それは、高1の夏。
みんながやっとクラスに馴染んできた季節。
俺は放課後、下駄箱で真を待っていた。
真は幼稚園からずっと一緒で、
いわゆる幼なじみっていうやつだ。
そして、カンナは同じ中学校だ。
カンナと真は同じクラスだから、
今頃真は俺のことをすっかり忘れて
どーせ喋りまくってんだろ。