私こそ光る☆君~番外編②~
「まあ僕個人の趣味はともかく、コストパフォーマンスの悪さを問題視する声が多数挙がっていたから、このカレンダー企画に次はないだろうね」


コストパフォーマンス……。

帝王学に反するからこんなに怒ってるのか。


制作費とか聞いても、高いのか安いのかよく分からないし……。



『えーっと、これ、幾らで売ってたの?』

「10万」

「高っ!!☆」


紫水がにっこりと告げた金額に由依が目を剥く。


一部10万で採算が取れないって、何やらかしたの制作サイド!?

ものすごい数量限定とかで販売したんだろうか?

いや、にしてもそうする意味が分からない……。


っていうか、笑顔がこわっ。

しかめ面より笑顔の方が数倍凶悪ってどういうこと!?


「個人レベルの悪ふざけなら面白いけど、商売目的 なら愚の骨頂もいいところだね。 セットにお金を掛けすぎで、肝心の商品の数が確保できないなんて」


うわー、痛々しい。

なんでそんな数量が限られてて10万もするようなものが、こんな所に普通に掛かってるんだろう?


……やっぱり高過ぎて売れなかったのかな?

10万もするのに、そもそもが日めくりカレンダーっていう性質上、破らざるをえないっていうのがネッ クかもね。

普通に月毎のカレンダーなら良かったのに。


作り始める前に誰か気付こうよ!



「……なあ今、“こんな馬鹿馬鹿しい企画二度とするな”って副音声が聞こえなかったか?」

「そんなの力ずくでも聞こえないもん、僕は楽しかったから!!☆」

『聞こえなかった……、と思いたい』


青褪める遥の声に目一杯首を振る由依だけど、残念ながら聞こえてしまったらしい。

こんなことになってるとは知らず、無邪気に自分の趣味に走ったのを咎められたように感じたのか、由 依の目は潤んで泣きそうになっている。


私だって、それを見て呑気にすごいとか思ってたから、紫水の言葉は耳に痛い。



「…………」


そんな気まずい空気を一切意に介さず、机の上に置 いてあった新聞を読んでる清龍は間違いなく強者(つわもの)だ。


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