その手に操られたい
あの手で、あの指で、触れられたい……。
ドクンと胸が震える。
ダメ、今は仕事中。
妄想が膨らみそうになるのを、理性で引き止める。
と、モニタ上のポインタの動きが止まっているのに気づいた。
視線を右頬のあたりに感じて、顏を上げると、彼が、私から自分の手に視線を移すところだった。
まずい。
バレた。
カッと、頭に血が昇るのを感じ、軽く咳払いする。
「あの、何時までに終わらせればいいでしょう?」
提案書を手に取り、付箋のついたページをめくりながら聞くと。
「あぁ、3時までにできるか?」
どこか上の空で答える彼。
付箋の数をざっと確かめて、「はい、できます」とうなずき、さっそく修正に取り掛かろうと、彼が放したマウスを握る。
すると。