ささやいて
彼の視線には私のスマホの画面。……ん? これが一体どうかしたとでも。
……そういえば、このユズタも風邪をひいていて声が出ていない。
そして古瀬も風邪をひいている。いや、そんなまさか。
しかし思えば古瀬の名前って“ゆうた”で確か漢字で“柚”って書くよな。

「待てこら、古瀬」

恐る恐る立ち去ろうとする古瀬を捕まえ、思いきり問い詰めてみた。
神様どうか夢であって欲しいようなそうでないような。

「悪いかよ。俺で」

最初ははぐらかしていた古瀬も最後には認めた。開き直ると言う形で。

私が恋をした歌声は、すぐ身近な場所にいて。
彼には片思いの相手(幼馴染らしい)がいる事を私は知っている。でも。
知ってしまった以上思わずにはいられない。
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