バニラ味の嫉妬
隠れた嫉妬

「果保さん、ごちそうさまです」

オフィスに戻る途中、バニラアイスを片手に後輩の駿くんがお礼を言ってきた。

顔にアイスをつけて微笑む姿は小さな子どものようだ。


「駿くん、ここについてるよ」

私に指摘された彼は、くちびるの端についたアイスクリームを舌先で舐め取った。


「これ、美味しすぎです。果保さんのおごりだからかな」

おまけに、赤くて小さな舌を悪戯っぽくペロリと出して……。

まるで私に見せつけているみたい。


「果保さんも食べます?」

さりげなくアイスを差し出してくるけれど、私は「いらない」と素っ気なく断った。
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