だって、好きにナラズニイラレナイ


「…お客さま?」


遠慮がちに声をかける彼の困ったような表情に更に絶句した。


「!?」


ど!

ど!

ドストライク!


思わず、意識を失いそうになって、慌てて自分を奮い立たせた。


い、いけない!


しっかりするのよ!



冷静に、冷静に、……深呼吸──


「あの…お客さま大丈夫ですか?」


再度かけられた言葉に見上げると、怪しい物を見るような
彼の目が映る。


い、いや───!!!


その顔も、ドストライク!なんですけど──!!!!


そんな目で見ないで──!!!!!


怪しい者じゃないの!!!!!


決っして、ないの!!!!!



でも……

いい。

ステキ♡


「あの、お客さま……ぷっ!」


両手で帽子のツバを引っ張り下げながら悶々とする私の耳に、何故か吹き出す彼の声がして


次に聞こえた言葉に、絶句した。



「心の声だだ漏れ…」


< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop