だって、好きにナラズニイラレナイ
ポツリと囁くような彼の声。だけど、聞き逃すはずない
彼の声だもの。
最悪。
最悪過ぎる。
もはやこの場の納め方はもう無いだろう。
私の人生も終わってしまった。
顔面蒼白で、思考回路が飛んでしまった───
「いつもの”カプチーノ“で宜しいですか?」
「え」
「あ」
「はい…」
「かしこまりました」
大好きな背中のラインをじっと見つめながら、帽子を取って椅子に置いた。
あんなにドギマギしていたのに
不思議と今は、落ち着いている。
お客の少ない時間帯で良かった。
独り占めできる時間帯を選んだ、自分に感謝状を送りたい。