背中のぬくもり
そして、私の優しい優しい幼なじみは夜道は危なかろうと、毎回自転車で迎えにきてくれる。
ごくろうさまです。
「なぁ、ほんとに男はいないんだよな?」
「いないよー。
女の先輩だってば。」
うちの部署はほとんどが女性社員。
男の人と関わることはあまりないのだ。
それを分かっていても、心配してくれる幼なじみを愛しく思った。
「心配かけてごめんね」
広い背中にギュッと抱きついた。
昔から彼の自転車の荷台は、私の定位置。
そこから見る、彼の後ろ姿が好き。
「がんばれよ、仕事。」
「うん!」
もっとギュッと抱きしめた。
彼の背中は広くては温かい。
顔を埋めると、彼の匂いがして、胸がキュウッと締め付けられた。