ヘーゼルグリーンの林檎







初対面できれいなんて呟かれて彼は不審に思った?

だけどあたしが待って、と言葉にする前に彼は通りすがりあたしを見て笑った。




「キミのほうが綺麗」


あぁ、ジーザス。神様じゃなくて彼があたしを殺した。



「……惚れちゃったみたい」

「ずいぶん大胆。会って間もないのに」

「時間なんて関係ないの。あなたのその目が悪いのよ」

「あぁ、あいにく生まれたときからこうなんだ」


なにそれ、皮肉のつもり?なんて内心思いながらもあたしは引き寄せられるようにその瞳に近づいていく。

この人が一体どこの誰なのかあたしにはわからない。

ハーフなのかヘーゼルグリーンの瞳をして昼間っからイングランド製のスーツをさらっと着こなす男。

だけどそんなのはどうだっていいの。

原石みたいに唯一無二の華美な瞳はどんな色香にも勝る誘惑の香りを放ってあたしを虜にする。

今が何時でここはどこで彼は誰なのか、そんなのは問題じゃなくなる。







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