ヘーゼルグリーンの林檎







「おいおい、こんなところでキスでもするつもり?」

「してくれないの?」


理性も倫理観もすべて吹っ飛ぶほど素敵な瞳をしてるあなたのせい。

あたし普段からこんな不埒な女じゃないのよ?




「いいよ、でもさ――」


ヘーゼルグリーンの彼は階段の手すりに背を凭れて片手であたしの二の腕を引き寄せた。




「でも、何?」


彼のその瞳にあたしが映り込む。それだけでも体の奥が疼く。

ぐんぐんと覗き込むようにヘーゼルはあたしを見て悪戯そうに口の端をあげる。

昼間でも色褪せず煌めく彼の瞳、月明かりの下ではさぞ妖艶なことだろう。想像して身が震えた。

それは楽園の林檎のようにきっとあたしを濃厚で罪深い世界へいざなう。







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