黄昏の檻【密フェチSS】
黄昏の檻
青空が太陽の傾きと共に朱に染まる。
まるで別世界に来たみたい。
「あれ? 松永、仕事終わり?」
「志木くん」
半袖のYシャツにスラックス姿の志木くんに声をかけられる。
彼は高校時代のクラスメート。
最近お祖父さんが入院して、仕事帰りにお見舞いに来る。
病室で再会して、懐かしさから話が弾んで、ついでに昔の恋心までが再燃した。
だけど今は、見舞客と祖父の担当看護師。
そんな間柄でしかない。
「うん。18時上がりなのにバタバタしててこの時間よ」
「じゃあ、飯まだ? 一緒に食わない?」
「いいけど。お見舞いは?」
「もう帰るとこ」
「じゃあ行く。車?」
「ああ、松永は?」
「私はいつもバスだから」
今日はついてる。
仕事帰りに志木くんに会えて、一緒に食事だなんて。
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