黄昏の檻【密フェチSS】

並んで病院の裏手にある駐車場へと向かう。
病院関係者しか知らない近道を彼に教えてあげると、喜んでついてくる。

近道は病院の壁と柵の隙間が50センチしかないような細道。
朱色の陽が当たって、柵の影が映ると牢獄にでも入ったみたい。
しかも狭いから自然に体が触れあって、ドキドキする。

「狭いな」

「まあね。でも、こっちの方が早いのよ」

ふと見上げると、やたらに彼の顔が赤い。

「顔、真っ赤」

「え?」

「夕陽のせいかな、……きゃ」

夕焼けを差そうと伸ばした手を掴まれた。

「俺、熱あるかもしれない。測ってよ、看護師でしょ」

「体温計ないよ」

「なくても測れるでしょ」

「えー、じゃあおでこ……いや、脈拍で」

普通、男性の一分間の心拍数は60から70。
志木くんに右手を出してもらい、太めの血管にアタリをつける。

指で押さえたところから、肘の方まで伸びる血の通り道。
深緑に浮かび上がるそれにドキドキする。
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