雨夜の月に【密フェチSS】
いつの間に眠っていたのだろう。
目を覚ますと彼の姿はなく、わたしはベッドの中にいた。
また一人きり。これも、いつものことだ。
シャワーを浴びるために気だるい身体を起こすと、寝室のドアが音もなく開いた。
「あ……」
わたしの口から言葉にならない声が漏れた。
腰にバスタオルを巻いただけの彼がそこに居たからだ。
「起きたのか」
「どうして?」
驚きを隠せないわたしに答えることもなく、彼はベッドに腰掛けるとわたしをきつく抱きしめた。