戸惑いdistance
次の日の放課後。
カラオケに行こうと誘う
ともだちに謝って
私は駆け足で
いつもの屋上に向かった。
虹「よっ。早かったな(笑)」
里「こんにちは・・・」
かばんからCDを出して
こーたくんに手渡す。
虹「ありがとー!!
なるべく早く返すな。」
里「ううん。返すのなんていつでもいいよ」
グラウンドの運動部の声とか
吹奏楽部の楽器の音とか
周りの空間から
この屋上だけ切り離されたみたいに感じた。
だいぶ伸びた髪が
風に揺れる。
こーたくんの栗色の髪も
さわさわと揺れていた。
お互いぽつりぽつりと
会話を交わしたり
沈みかけた日を眺めたり
すごく優しい世界に
包まれたようで
ちょっとだけ、
胸がくすぐったくなった。