戸惑いdistance
〜虹太side〜
歩「里穂の初恋、しっかりサポートしてやろうじゃん☆」
・・・初恋?
里穂に好きなやつがいる?
借りていたCDを片手に
7組のドアの近くに立っていた俺の耳に
聞きたくもない事実が
飛び込んできた。
耐え切れなくなって、
その場から離れる。
初めて里穂と喋った日から
1ヶ月が経っていた。
だんだん仲良くなって、
「里穂」って、名前で呼べるようになって。
虹「なんか、舞い上がってたのかも、俺・・・」
かなり恥ずい。
バカにも程がある。
初めて屋上で言葉を交わしたあの日、
俺は里穂に一目惚れした。
風に揺れる長い髪も、
俺よりだいぶ低い背も、
空を見上げる横顔も、
独り占めしたいと思った。
いつも会話するだけで
精一杯になっちまうけど。
里穂の、日だまりのような笑顔を見てるだけで
やさしい気持ちになれた。
これが俺の初恋なんて、
恥ずかしくて誰にも言えねえだろ(笑)
・・・でも。
里穂には好きな奴がいた。
虹「・・・決めた。」
もう屋上には行かない。
諦めがつかなくなるし、
何より里穂の恋を邪魔してしまうかもしれない。
それだけは嫌だもんな。
すげぇ悔しいけど、
里穂の恋を応援しよう。
そう決意した。