黒い翼
あたしはさっさと廊下を歩く。
少し顔が熱いのは、きっとこの日差しのせいだ。
シキが出てきて照れたからじゃない。
『フってるのは、まだ翔のことが好きだから?』
頭の中でその言葉がリピートされた。
あたしは誰もいない旧校舎の方へ足を進め、日陰になっているところで腰を下ろす。
「……クソッ…」
図星なんだよ、畜生。
地面を力任せに叩くと、ぺチッという平たい音が聞こえて、影になっている地面の温度が手に伝えた。
こんなことを考えて、何度、自分が人間じゃなかったことを恨んだか。
〝恥ずかしい〟なんて、そんな単純な理由だったら良かったのに。
あたしは再びそう思った。