黒い翼
「久しぶりだね、京。二人でいるのは何年ぶりかな」
僕は彼女のベッドに腰掛け、彼女の髪に触れた。
ギシ…と音が鳴る。
「……ダレ…」
起こしてしまったのだろうか。
彼女が眩しそうに目を開ける。
額に汗がにじんでいた。
「…なに?」
綺麗な赤い瞳を僕に向けて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
だけど彼女は眉間にシワを寄せて、プイッと僕から顔を逸らし、寝返りを打った。
「そんな状態なのに、欲しがらないの?」
敢えて彼女の耳元で囁き、そうさせるように促す。
ピクリ、と彼女が反応する。
だけど返ってきたのは、思ってもみない言葉だった。