黒い翼
「なんで?」
「ん?」
シキはキョトンとして、瞬きをする。
「なんでここが分かった?」
「は?」
シキは真剣なあたしの顔を見て、呆れる。
「んなモン、京の血の――」
彼はそこでハッとして、自分の口を押える。
「え?」
今、なんて?
あたしの、血?
あたしは咄嗟に、それを確かめる為、シキの手を取って彼の爪を自分の手の甲に滑らす。
シキの拒絶する声は、あたしには届かない。
「……………………」
失敗した時のように、シキがため息を吐く。
あたしの手の甲には血が出ている。
その傷が瞬く間に塞がってしまった。