黒い翼

独占

彼がいなくなったこの場所で一人、髪を風に梳かせる。


今頃、彼は彼女にあって後悔しているだろうか。


「…………………」


不意に込み上げてくる笑いを堪えるように、僕は口に手を当てる。


「……ふふ」


嗚呼、駄目だ。


堪えることが出来ない。


「ふはっ……ははは」


やった。


とうとう。


やっと。


僕は彼女を思い浮かべ、嗤う。


「もう離さないよ。梗(コウ)」


僕は空を見て呟く。


キミは僕のものだ。

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