黒い翼
愛憎
「何の用かな」
「それは自分がイチバンよく分かってんのじゃねえの」
「……へぇ」
紫葵に呼び出された僕は、夜のグランドで嗤う。
彼の投げたナイフをサラリと躱して、僕は彼の首を狙って引っ掻く。
だけどそれはどうやら、よまれていたらしく、空を切った。
「キミに僕は殺せないよ」
「それはどうかな」
「……悪ふざけはしないことをお勧めするよ」
彼はどうやら僕の意見には耳を傾けないようだ。
話をしている最中なのに、どこから取り出したのか分からないけど――たぶん、服にたくさん隠してあるんだろうけど――ナイフを取りだし、僕に投げる。
素人…じゃ、ない。
スピードといい、投げるフォームといい。
だけどそんなことはどうでもいい。
「梗から手を引けよ」
その言葉で、キレた。