黒い翼
時計を見るとまだAM5:45だった。
そして俺が今どこにいるか気づく。
あ、やべ。
ここ女子寮だ。
人に見つからないように窓からそそくさと出て、自分の部屋に帰る。
ふと、ヒリヒリした腕を見ると、赤く腫れた傷口に、雑に絆創膏が貼ってあった。
「………………………」
クソ。
俺は小さく舌打ちをして、その患部を掻きむしった。
鼻に纏わりつく自分の血の匂いが気持ち悪い。
俺は。
なんで、京を。
訳分かんねえ。
まるで、自分の中に知らない人がいるようで。
「…分かんねえ……」