黒い翼
病院に連れてった前後のことは、はっきり言ってほとんど覚えてない。
俺が何でこんなに血臭いのかも分かんねえし、なんで慧があの場所に倒れていたのかもわからない。
何で俺がこんなに分からないのかも、分からない。
病院のベットで寝ている京に、起きるまで付き添っている自分も分からない。
これは自責の念からなのだろうか。
「……シキ…?」
イスに座って考えていると、京が目を覚ました。
顔色はあまりよくないが、さっきと比べれば格段に良くなっていた。
「……血がほしい」
「あ、ちょっと待てよ?取りに行って…」
立ち上がる俺の袖をクンと掴み、懇願する。
「シキのが…欲しい」