黒い翼

(`・ω´・)+

次の日。


「…シキ……?どうかした?熱でもあるのか」


昨日と同じく、京がこの部屋にいる。


ぼんやりすると、京が決まってそう言う。


「俺がおとなしいからって熱とかってひどいなw」


ハハハと笑ってみても、京は心配しているようで、難しい顔ばかりしている。



「…俺……やっぱ熱あるのかもしれない…」


「……シキ…?」


素直になって、京を後ろから抱きしめてみる。


温かかった。


「…ほんと……どうした?」


恥ずかしがらずに、俺の腕をほどこうとしない京。


それは、俺に同情しているからなのだろうか。


どうしようもない奴だと思って哀れんでいるからなのだろうか。


「お前は…俺と出逢わなければよかったって言ったけど、」


まだ、俺らが付き合っていた頃の話。


〝出会うんじゃなかった。好きすぎて辛い〟


冗談交じりに言った京の言葉は、本音が含まれていたと思う。


自分が言ったその言葉を、彼女は覚えているだろうか。


「まだ、覚えていたの。そんなこと」


ふはっとしょうがないとでも言うような口調に、少し、俺の頬が緩んだ。


「俺は京と出逢えて良かったって思ってる。ありがとな」


ピクリと、京が反応した。


「――とか言ってみる」


「おい」


なんて、からかえばからかうほど、辛い。
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