黒い翼
人だかりができている場所へ行くと、そこには血だらけの二人が殴り合っていた。
先生が手当てを受けていて、どうやら止めようとして食らったらしい。
と、二人が同時のタイミングで距離をとった。
――まさか
これで決着をつける気なのだろうか。
「あんの、バカが…」
遅くても構わない。
あたしは地面を蹴っていた。
「ちょっ、あなた!!?」
誰かがあたしの手に触れる。
あたしはそれを振り切り、二人の間に割って入った。
「!!?」
ぐじょり…と気持ち悪い音がする。
「……っは…」
息がしにくい。
ふたりの息を飲む音がする。
「梗!!?」
「京!!?」