rain girl
ハルの想い
ヒカルはわざと雨を被るように体を広げて、もの悲しげな瞳で空を見つめていた。
最初ヒカルがここに来たとき、ヒカルが幼い頃見た風景とは全くかけ離れたものとなっていた。
あんなに美しく、真っ白だった花畑が今はその面影も何もなくなってしまっていた。
ここへ来れば心が洗われると思った。
汚い、憎しみや憎悪など綺麗に無くなると思った。
純粋で真っ白な心になれると思った。
だが違った。
あの頃の思い出はもう二度とヒカルの元には帰ってこない。
その現実をつきつけられヒカルはどうしようもなく悲しくなっていた。
ヒカルの瞳を見据えれば。
一筋の光もさしこむ隙間も無く、暗くて漆黒、絶望の色となっていた。