囚われ姫~今宵降りゆく星屑は~
「すみません。刹那借りますね」
「ちょっ…!」




言うが早いか、男はあたしをお姫様抱っこして教室を飛び出した。ちゃんとあたしの荷物を片手に。




「そなたは…?」




ようやく下ろしてくれた図書館前のベンチで、あたしは男に問い掛ける。
神崎さんほどでは無いが長身な男はあたしに目線を合わせるようにしゃがみ込むと、あたしに恭しく礼をした。

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