オークションの悪戯-イタズラ-
「遅れました、すみません」

「いえ…」

「あとで食べるもの作るから」

「ありがとうございます」

「取り敢えず…どうぞ?」

タオルを渡される。

「すみません」

涙を拭き取る。

「もう嫌?ここにいるの」

「でも帰るところもないので」

私ははははと笑顔を作る。

「無理するなよ」

頭に手をポンと乗せられる。

「凄く嫌だよ、寂しくて、怖くて

痛いよ、でも乗り越える…よ」

涙が止まらなくなる。

優しさに甘えてしまう。

きゅ…

私は神田さんに包まれた。
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