ワールド☆スリップ
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Hello
スッと風が頬を撫でる。
風に揺らされた草がサワサワと騒ぎだす。
うちは、静かにその草の上に腰を下ろした。
「落ち着いたか?」
『…ん』
「…そろそろ、お前のことを教えてくれ」
『……』
「……」
『……』
「…そんなに警戒すんなや。てか、なんか言えよ」
ふぅ、とため息をつく男……いや、女。
『なんで、うちがこんな目に合わなくちゃいけないんだ…』
「はっ。同感だな(笑)」
『…あっそ』
なぜ、うちはため息をつきたいのだろうか。
もう、考えることも、思い出すのも嫌だ。