二つの甘い蜜
小高くんの匂いがする。
まだ小高くんが練習に夢中になっているのを確認して、もう一度小高くんのタオルに頬を寄せた。
目を閉じて。
私に触れているのがタオルではなく、小高くんなんだということを想像してみる。
繰り返されるドリブルの音。
それがなぜか、だんだんと大きくなってきているような気がして、パッと目を開けると、すぐ目の前に小高くんが立っていた。
慌てて顔をあげると、小高くんはクスッと笑った。
「……日菜って、変態?」
「え? へ、変態?」
想像もしてなかった言葉に、じっと小高くんのことを見つめる。
小高くんは、私の手からスポーツタオルを取り上げると、顔や首筋の汗を拭いた。
「変態だろ? 俺のタオルの匂いなんか嗅いで」
「……そ、そんなこと、」
してないと言い切れなくて、言葉に詰まる。