赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
戸惑いのキス
ガタゴトと揺られる馬車の中では、重い沈黙が支配していた。
キサラは先程の様に泣き叫ぶ事はなかったが、ジュークから出来る限り離れて座っている。
とは言え所詮は狭い馬車の中。
手を延ばせば届く距離だ。
だが、ジュークは手を延ばすことは無い。
ただジッとキサラを見続けていた。
感情の読み取れない目。
キサラはそんなジュークの考えを探る事も今はしたく無く、絶対に目を合わせるものかとそっぽを向いていた。