赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
いくら暴れても、ジュークの胸を叩いても彼は下ろしてくれなかった。

次第にキサラの目には涙が滲《にじ》み、部屋につく頃には嗚咽が漏れていた。


「も、やだぁ……」

子供の様に泣きじゃくっているキサラを抱えたまま、ジュークは何とかドアを開け中に入る。


「下ろしてっ」

流石にもう下ろしてくれるだろうと思いもう一度言ったが、ジュークは何をためらっているのかキサラを下ろそうとはしなかった。


本当に、訳が分からない。


 
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