赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
ただ、この苛立ちには覚えがあった。


ジュークはずっと持っていた手紙を取り出し開く。

昨日クルスから渡された手紙は見るも無残なほどにしわくちゃになっていた。


見なければ良かった。
手紙の事など気にしなくていいのだ。

そう思っていたのに、すぐに捨てる事は出来なかった。


キサラに字を教えたという神父からの手紙。

前半は神父自身の事とキサラがどうやって暮らしていたかが書かれている。

それだけならば特に心が動くことは無かっただろう。


問題は後半だった。
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