赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
自惚れでは無いけれど、他の女たちよりは気に入られているのだと思う。

身分が違い過ぎるため、彼が本当に自分を見てくれる事は無いと分かっている。

だから、この想いは叶わぬ恋なのだ。

分かっている。分かっているのに……。



『キサラ様はジューク様の婚約者なんですよ』

クルスの言葉が蘇る。


普通の村娘だと言っていた可憐な少女。

彼女が嘘を言っていたとは思えない。

でも、クルスの紹介に異を唱えることも無かった。
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