赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
理由は分からない。

でも全てが本当だとすると、それこそ身分が違い過ぎるのでは無いだろうか。


ただの村娘だったら、商人の娘だった自分の方がまだ身分としては上なのでは無いのか。

そう思ったが、すぐに悲しい微笑を浮かべる。


商人の娘だったのはもう十年以上も前の話だ。

とうに落ちぶれて、商人だった両親は自分を残して行方不明になった。

頼れる大人など他にいなくて、娼婦になるしかなかった。


そんな自分と村娘。

どちらが上かなど、比べること自体が間違っている。
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